このユニットはポケットステーションでRCXやDDKをリモートコントロールするいしかわきょーすけさんのPocket Commander/Pocket Programerの出力を増幅し純正リモコンなみの放射強度を得るために製作されたものです。
トランジスタ2石による簡単な回路構成となっていますが、DIGITAL回路や専用のICを使ったものとは異なり、設計はちょっと手間掛かります。
製作は極めて簡単ですので、電子回路工作の初心者の方も、お気軽に作ってみてください。また、日ごろDIGITAL回路だけを扱っていらっしゃる方も、これがアナログ回路の設計を始めるきっかけになれば望外の喜びです。
回路図をご覧ください。PD1はフォトダイオードです。RCXやKosakaさんのIR-eyeに使われている赤外線受信ユニットとは異なり、光や赤外線の強度をそのまま電流の強さに変えます。
Q1はこの電流を増幅します。2SA1015Yの最後のYは、HFE(電流増幅率)で分類されていて、O:70-140, Y:120-240, GR 200-400です。ポケステで実験したところ、20μAほど、PDの出力がとれたので、Yランクでは、4-8mAコレクタ電流(Ic)が流れます。
Q1のコレクタ電流は、HFEのばらつきや、ポケステとPDの光軸ずれなので変化し一定ではありません。
これをリニアに増幅すると、出力が変化します。
この装置に求められる動作はそうではなく、ポケステのLEDのON-OFFに従い、この装置のLEDもフルパワーでON-OFFすることなので、リニアーに増幅するのではなく、閾値を設け、入力が多少変動しても、デジタル的なON/OFFに変換する必要があります。
これを実現するため、LED1は、表示用ではなく定電圧ダイオードとして働いています。一応光るのでパイロットランプの代わりにもなりますが...
R01両端の電圧は、Icの増加に比例して上昇しますが、KR311の順電圧(2.1-2.5V)でクランプされ、それ以上電流が流れてもほぼ一定になります。
一方、Q2のコレクタ電流はベース電圧(Vbe)が0.6V以下ではほとんど流れず、これを超えると、Vbeが0.6-0.7Vに保たれるように流れます。全体としてQ1のIc=0.6mA以下では、OFFになり、約2mA以上では定電流になるように、なっているわけです。
PDにスタンドの灯りを近づけたり遠ざけて実測すると、R02両端が0.9Vで一定になるのが分かったので、22Ωとすれば約40mAの定電流をLED2-4に流せます。
使用するPD, LEDの型式が違っても、まずR02に仮に100Ω程度の大き目の抵抗をつけ、白熱電球に近づけR02両端の電圧を測ってこの電圧をEとしたとき、
R02 [Ω] = E [V] / 0.04 [A]
になるよう調整すれば良いわけです。なお、蛍光灯では、ちらつきがあるのでこの調整用には適しません。懐中電灯が最適です。
こうして回路が決まれば、試作を行います。ソルダレスブレッドボードがちょとした実験には便利ですね。
初期の目標通り動いているなら。万能基板に組みます。この程度の規模なら、ちょっとこつをつかめばアドリブで配置できるようになるでしょう。
この手の装置だと、回路よりケース作りのが手がかかったりします。糸のこ盤と彫刻刀で、木材加工してベースを作り、鉛筆ケースに組み込みました。
ちなみに加工担当はdaichiXです。紙に現物合わせで鉛筆で形を取り、トレーシングペーパーにコピーして、スプレー糊で材料に貼りつけ、紙ごと切りぬきます。