Message BallのメッセージをRCXがあまり良く受信しないと言う問題がありました。
ほか、いろいろの可能性を探りながら、改良を試みましたがあまり改善することができませんでした。
そんな折、JinさんのSiteの電子工作BBSでSharp IS1U60 赤外線受信モジュールの、立下り立ち上がりに差がかなりあり、このため波形歪を生じてデーターサンプリングがずれ、このためにうまく受信できない可能性が判明し、RCXの受信モジュールにも同様な傾向がないか調べるうちに、Start bitを短縮すると、大幅に特性改善する事が分かりました。
これについては、Message Ball改良その2に述べた通りです。
その後、いしかわさんのPocketStationを使用したRCXリモコン、PocketCommanderにパッチしやはり特性が改善する事を確認したため、この解析と対策は、間違いないものと思いました。
しかし、ななしのさんが開発した、WonderSwanを使用したリモコンWonderCommandで、同様にstart bitを短縮する実験を試みていただいたところ、改善は認められない事が分かり、RCX個体差で特性にばらつきがある危険性が浮上しました。
この実験とレポートは、Start bit短縮がRCXの受信特性に与える影響を追試し、特性のばらつきを定量的につかむためのツールを提供するものです。
解析ツールは、Message Ball v2のハードウエアを用い、start bitの長さを広範かつ自動的に変化するfirm wareと、一定の時間に受信できたメッセージの数を計測するnqc programで構成されます。
Message Ballは、Message 101〜107を信号強度に差をつけながら送信しますが、この解析ツール用のfirm wareは、Message 101〜116を同じ信号強度で、start bitの長さを変えながら繰り返し送信します。
可変する単位は38.4kHzの赤外線搬送波の1波、26μsとなっています。標準のスタートビットの長さに対し、-14〜+2をMessage 116〜101に対応させています。
私の家にある2台のRCX 1.0を計測した結果をしまします。
| key | ssa | lsa | ssb | lsb | sla | lla | slb | llb |
| RCX mode | short | long | short | long | short | long | short | long |
| Message Ball-RCX 距離 | 接触 | 接触 | 接触 | 接触 | 50cm | 50cm | 50cm | 50cm |
| 機番 | 124316 | 124316 | 141523 | 141523 | 124316 | 124316 | 141523 | 141523 |
| start bit | ssa | lsa | ssb | lsb | sla | lla | slb | llb |
| 2 | 0 | 0 | 0 | 0 | 2 | 2 | 0 | 0 |
| 1 | 81 | 81 | 6 | 10 | 25 | 39 | 1 | 5 |
| 0 | 82 | 82 | 82 | 82 | 79 | 75 | 43 | 56 |
| -1 | 83 | 82 | 82 | 82 | 82 | 83 | 82 | 81 |
| -2 | 83 | 82 | 82 | 82 | 82 | 83 | 83 | 82 |
| -4 | 83 | 82 | 82 | 82 | 82 | 83 | 83 | 82 |
| -5 | 83 | 82 | 82 | 82 | 82 | 83 | 83 | 83 |
| -6 | 83 | 82 | 82 | 82 | 82 | 82 | 83 | 83 |
| -7 | 83 | 82 | 82 | 82 | 82 | 80 | 82 | 83 |
| -8 | 83 | 83 | 82 | 83 | 59 | 49 | 68 | 66 |
| -9 | 40 | 44 | 38 | 51 | 15 | 9 | 27 | 19 |
| -10 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 8 | 1 |
| -11 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
| -12 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
| -13 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
| -14 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
もし、できることでしたら、この測定システムを使い、お手持ちのRCXを測定いただき、レポートをお送り下さい。
また、ミーティング等の際に、私がこのシステムを持参しました折、お手持ちのRCXを是非測定させていただきたく、お願い申し上げます。
2台だけの結果からは、-2すれば安定する事が分かりますが、「標準規格」から故意にずらす「改悪」をしています。多くのRCXで、問題なく作動し、結果的には「改悪でなく改良になっている」事を確認させていただきたいのです。
Message Ballだけの問題ではなく、IR通信を行う全ての自作ハードウエアに関連する問題ですので、できるだけ確実なデーターを提供したいと思っています。