又・鬱な日々 2005年5月


「鬱な日々」入り口

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5月1日

無事自宅に戻ってきた。9:30amに出発して一人で電車に乗り自宅に着いたのは11:30amを回ってい た。


5月3日

家族は日帰り旅行でみんな早朝に出かけてしまい、一人で留守番している。

鬱な日々を読み返して、今の自分の鬱は何度目 の鬱なのか考えてみた。

発病は2001年の3月ぐらいだと思う。仕事の効率ががた落ちになって、突然死に たくなった。しばらくはなんとか我慢していたが、これはいよいよ危ないと思って精神科を受診した 。2001年6月7日のことだ。SSRI, SNRIの抗鬱剤を飲んで静養するが、思うように治らず、2002年6月1 4日にS医大付属病院に入院し、7月25日に退院した。このときは完治したように思えた。まあ、今だ から笑える「アルツハイマ病初期の疑い」を背負っての退院だったが…

2002年11月25日ごろから調子が悪くなったのは、再発だったのか、抗鬱剤を中 止したのが早すぎたせいで「再燃」したのか、よく分からない。ともかくここからは一進一退ではっ きりしない日々が長々と続く。仕事をしたり休んだりを繰り返しながら、2年以上過ごす。

2004年11月9日二回目の入院をした。この入院はあまり意味がなかったように思 う。単に静養しただけだった。

2005年1月15日に転職し、2005年2月23日にうつ病が再燃。これは「再燃」だっ たのか、いったん治ったあとの「再発」だったのか。

はっきりしているのは、抗鬱剤の効きが悪い「難治性うつ病」だということ。 しかし何回再発したのかはよく分からない。ずーと続いているなら、今回のTMSですっかり縁が切れ る可能性はある。

でも、うつ病患者の50%は再発する。1度再発した鬱の90%は再々発する。2度 再発していれば、一生つきあう覚悟が必要になるわけだ。

どこまでが再燃でどこからが再発なのだろう。よく区別が付かない。

まあ私の場合、メランコリー親和型の性格傾向は、どっちしてもあるわけで、 要因がそろえば多分再発する。

再発しないよう、再発しても仕事が続けられるよう、あらかじめ一生付き合う気で環境を整備するべきなのだろう。


5月6日

今日はSPECTの検査を受けた。脳血流シンチレーショングラフィーとも言う。

腕の静脈からTc(テクネチウム)の化合物を微量注射する。Tcは人類が最初に作った元素で放射能が有るので血流に運ばれ人体各部から放射線を発する。脳の周りを回転するシンチレーションカメラでこの放射線をとらえトモグラフの手法で断面図に転換したのがSPECTだ。

この画像から脳各部の血流が分かる。TMSによる血流の変化を観るためSPECTをTMS前後2回行う。

明日からようやくTMSが始まる。


5月7日

今日午前、初めてのTMSを受けた。やはりマグニステム・ラビッドを使っていた。

椅子に楽に座り、始めは磁気の強度を調整する。右手に軽くボールペンを握り左後頭葉運動野を刺激する。

パチン・パチンと音がして顎と顔の筋肉が動くがこれは筋肉が直接刺激されているもので関係ない。脳が刺激を受け手が動く位置で磁気の強度を調整する。

その後、左前頭葉に10Hz 5秒間を30秒間隔で1日10分合計1000パルスを印加した。

10分連続だが磁気の強度決定にもパルス発生したためコイルが過熱し今日は途中冷却が必要だった。部屋にはコイル冷却用の冷蔵庫がある。

これを延べ10日間10000パルス印加して退院となる。

磁気パルス印加している間は顎と額の筋肉がガクガク動き頭を小突かれているように感じるが、それほど不快ではない。

効果は早ければ3日目ぐらいからでるそうだが1日目だから何も変化はない。

1000回も小突かれれば不快感が残りそうだが、磁界変化がフレミングの法則で誘導起電流を生じそれを小突かれたように認知しているだけなので、実際に小突かれたあとの様な感覚は残らない。

私は何日目で効果がでるだろうか?あるいはてないか?10日を終わった後で効果が現れる例もあるそうなので焦らず期待したい。


5月8日

今日のTMSは午後の予定。これを書いているのは午前なので昨日同様TMSは1日分の状態だ。

際立った変化はないし、無関係の事象かも知れないが気づいた事を書き留めておく。

夕食が少なく感じた。調理科が管理している2000kcal/dayの食事だから量に変動は、ほとんどないはずである。今日の朝食も、なんとなく物足りない。多分、食欲が増進したためと思う。

昨夜、妻に電話したら、今までのようなぎこちなさがなく、話し方が滑らかだと言う。私本人には自覚はなかった。

寝る前に顔が脂ぎった感じがして、石鹸で顔を洗った。いつもは面倒くさいので、お湯で洗う程度かほとんどはそのまま寝てしまった。

TMSが影響しているのだろうか?


5月9日

TMS 3日目の半分が終わった。「半分」と言うのは、またコイルが過熱して中断したため残りは午後にするためだ。

空冷ファンがついている物もあるが音が大きいだけで冷却効率が悪くこうしてノーマルタイプを冷蔵庫でその都度冷やしている。

水冷にすればと思うがコイルの印加電圧・電流は最大2800V 8000A に達する。絶縁と熱伝導を両立するのは容易ではない。おまけに金属は非磁性体でも渦電流を生ずるので使えない。以前ならフロンを使うところだが...

さて効果だが、まだはっきりしない。変わったこととして、昨夜たくさん夢を見た。主治医に伝えると、TMSによる睡眠パターンの変化の報告があるそうだ。

吉兆だと良いのだが。


5月10日

昨日午後のTMSが終わった時それまでと、何か少し違って、すっきりした。主治医も効き始めに清涼感を感じる例が多いと言う。「早ければ3日目に効果が現れる」と聞いているので暗示によるものかも知れないが、昨日に続いてたくさん夢を見た。夜中に何回か目覚めるのだが、今まではきまって

21:00 就寝、23:00 01:00 03:00 05:00 起床だったものが、00:30 03:30 04:30 起床になった。

睡眠パターンが変化したらしい。

今も曇っていた気分が晴れたような感じがする。本物だとうれしい。

今日は脳波検査があった。24個の電極を頭に付け横になって40分余り指示に従って目を開け閉めしたり、点滅する光を見たり、深呼吸をしたりする。

チャートを見せてもらったがどう読むのかさっぱり分からなかった。


5月12日

5日目のTMSがおわった。

タッタッタッ...

TMSの装置が出す音と脳をキツツキが小突く様な刺激にも慣れてきた。

肩たたきの様な心地よい刺激ではないが、虫歯を削る様な逃げ出したくなる痛みでもない。

TMSにかかる時間は1日正味10分だが磁力の調整、コイルの位置合わせ、過熱による予備コイルとの交換などで20〜30分かかる。

食欲も上がったし、看護師さんに「すっきりした表情になりましたね」と言われた。それに5月11日の夜は03:05に一度しか起きなかった。なんと言っても、自覚症状として、どんやりもやもや曇った気分が晴れさわやかになった。

気のせいや、自己暗示ではなさそうだ。

主治医も効果があったことに既に自信が有るらしい。退院2週間以降の通院についてたずねられた。自宅付近のAクリニックに戻ると言うと残念そうだった。成功例として経過を追跡したい気持ちは理解できるが、いかんせん通うのには遠い。

TMSはうつ病のほか、PSTDからくる抑うつ症状、統合失調症の幻聴などにも効果が有るらしい。

m-ECTは一回4万円で1クルー10回。全身麻酔のリスクがあるがTMSは治験中で無料の上、リスクは低い。知り合いに難治性うつの方がいたら是非紹介して欲しいとのことなのでこの場でお勧めしたい。


トイレ工事

5月9日〜5月11日に精神病棟のトイレ工事が行われた。

元は暖房便座の洋式と和式便器だったものをすべてTOTOのウォッシュレットに交換する大工事だった。トイレは閉鎖され削岩機の音が響きわたる。

外出できる人は退散したが単独外出許可が出ていない人も多数いる。

普段は夜間も開けてある各病室の扉を閉じ工事終了を待った。

私は外出許可があるし、TMSが効き始めていたので苦にならなかったが、うつ病は騒音が頭に響く。

辛い思いをした人もいたにちがいない。

お陰でトイレは快適になったが。


5月13日

今、私は8人部屋に入院している。一昨日まで2床が空いていたが昨日、入院された人がいて7人になった。

うつ病で私と同様、4年だそうだ。2度目の入院で今回、ここ杏林大学医学部付属病院を選んだのはTMS治療を受けるためだそうだ。

何気なく、どうやって杏林大学病院でTMSをやっていることを知ったのか聞いて驚いた。

「あなたのページを見て」

インターネットを検索して、この「鬱な日々」にたどり着いたそうだ。

Web Master冥利に尽きる思いだが、世の中広いようで狭い。私が入院している間に読者と同室になるとは思ってもみなかった。私以上にTMSが効いて元気になられることを祈る。

それと同時にインターネットの威力を再認識する。テレビやラジオなどマスコミとは無縁の個人が趣味で運営しているサイトが見ず知らずの人の人生に影響を与える。襟を正して良質な情報を提供する誓いを自ら立てる。

差し当たりTMSの適応を再確認する。

歯科治療を除き頭部に金属が埋め込まれていないこと。

テンカン発作を起こしたことがないこと。

各種抗鬱剤を使用しても効果が得られないか、薬剤を使用できない事情がある場合。

最後の条件は絶対的ではなくTMSがうつ治療の第一選択肢になるかも知れない。


5月14日

昨日も入院した人がいて8人部屋は満床になった。

私の症状はほぼみな快方に向かっているのだが、睡眠が安定しない。

睡眠薬としてサイレース2mg 2錠、ユーロジン2mg、ベゲタミンB各1錠を飲んでいるのだが、夜中に目が覚めるし、今朝は03:15に目が覚め、それ以降眠れなかった。睡眠薬なしで熟睡できるようになりたい。


5月15日

昨日は友人のS君が見舞いに来てくれて久しぶりに電子回路の話題で盛り上がった。

電子回路は私の趣味であり仕事だった。鬱病になったのも、趣味と仕事が同じと言うのが深く関わっていると思う。うまく息抜きができない。

退院後はまだはっきり決めてないが、電子回路から足を洗うのは難しい。

ほかになにもできない訳ではないが、楽しい仕事がしたい。そうなると趣味の方を変えるべきなのだろうが、これも難しい。

しかし、そう言っていては、また鬱病を再発させてしまうことが危惧される。

うまく両立できれば良いのだが...


5月16日

5月25日の退院が近付いてきた。まとまった費用を準備する必要があると思い概算見積をしてもらうため入退院窓口へ行った。

ところが概算見積は各病棟の窓口が担当していると言う。

出直そうとした時、VISA、MASTER、UCのマークが目に入った。

「支払いにカードが使えるのですか?」

「はい。こちらのカードでしたら。」

「支払い方法は?たとえばボーナス一括とか?」

「翌月一括とリボ払いをご利用頂けます。」

「入院保証金もカード払い出来るのですか?」

「はい。但し入院保証金の場合、精算によって払い戻しになる場合があります。カードの場合現金を戻すことが出来ませんので、一旦取り消ししてから、組み直してお支払い頂きますので同じ方が同じカードを持って精算にお越し頂く必要があります。」

...

改めて思う。

情報などどこにでもありそうで、意外に見つからないものだ。


5月17日

昨日でTMS 7日目が終わった。5月9日〜11日まで夢を見たがその後見なかった。昨夜は21:00 就寝、01:45に目覚めてマイスリー10mg 1錠を飲み、05:10 起床。

頓服の睡眠薬を飲んだものの入院中一番よく眠った気がする。夢も見た。

残り3回のTMSで睡眠薬なしに眠れるようになるのは期待し過ぎだろう。


5月18日

昨日、不覚にも1時間午睡してしまった。案の定今朝は04:30に目覚めてしまったが心地良い午睡だったので良しとしよう。

TMSの8日目が終わり気分が安定し、意欲も出てきた。TMSを選んで成功したと思う。

今日はMRIがある。これが終われば検査はTMS後のSPECTを残すのみとなる。

MRIは核磁気共鳴(NMR)を応用した画像診断で「核」が付いても放射線被曝はない。

強い磁界の中で物質に化学結合した水素原子は、結合の仕方によって異なる電波を吸収する。これによって物質の分布を画像化できる。

このMRIで2002年6月の入院時、脳の萎縮が認められアルツハイマー病と誤診された。今回もその写真を比較の為持ってきた。

主治医は萎縮があると言う。脳外科で歳相応の正常範囲と言われた旨を話すと、脳外科医より精神科医の方が萎縮に敏感な傾向があると言う。

3年で異常に萎縮が進んでないと良いのだが。3年前も今も脳外科で聞かれたような連続する頭痛等の自覚症状はない。

しかし診療科によって同じMRI画像の読みが異なると言うのはどういうことなのだろう。3年前は結果的に脳外科が正答だった。今度はどうか先のことは分からない。前の結果から言えることは、重大な診断結果はセカンドオピニオンを得るべきだと思う。


5月19日

9日目のTMSが終わった。5月21日に10日目を行えば治療は終了し5月25日のSPECT検査ですべてが完了し退院となる。

5月21日〜5月24日は自宅に外泊するので病院にはあと3泊になる。睡眠が不安定で早朝覚醒するのが気がかりだか、TMS自身が早朝覚醒を生じる可能性がありTMS終了後早朝覚醒がなくなったと言う報告もあるそうだ。そうなれば有り難い。

TMSは1日1000パルスを印加する事は既に書いたがコイル1個でうまく行って500パルスが限度。コイルは2個あるが1000パルスはきつい。

今日も950パルスで過熱して冷却が必要だった。3個用意すれば楽なのにと思っていたが、コイルだけで1個 120万円して実験予算が足りないとの事だった。

外来でTMSを実施する案も有ったが外来棟の電源事情からも不可能とも聞いた。

早く保険適用になりどこでも手軽にTMSが受けられるようになって欲しい。


5月20日

確かに回復している。退院日が近付いてくる。その結果、退院後が心配になって来た。働くと、またうつ病が再燃するのが怖い。

なぜ私のうつは全快しないのか?確かに抗鬱薬が効きにくい難治性なのは分かる。

しかし2002年7月にトリプタノールが著効を現し一時は全快したように感じた。

やっぱり仕事と趣味の区別がちゃんとついていないこと。完全主義的嗜好。期待されると、あるいは期待されていると感じると、自分の実力をわきまえず期待に応えたいとオーバーワークしてしまう傾向が鬱病を自ら呼び込んでいるのだと思う。

病気ではなく性格の問題で「メランコリー親和性」と言うそうだ。性格なら付き合って行くしかない。100点ではなく80点で我慢しよう。できるかどうか自信はない。

「TMSなら何度ても出来ますから。」と主治医が冗談混じりに言う。安いものなら用心に自宅に置いておきたいがコイル 1個で120万円だからなあ。本体は幾らなのだろう。今度聞いてみよう。


5月21日

「TMSのコイルだけで120万円だそうですが...」

「本体は1000万円です。」

主治医に先を読まれてしまった。

TMS 10日目が終わった。

「磁気刺激は、これで終わりです。でも治療は終わった訳ではありません。boostと言って磁気刺激をうけた脳内の変化は一ヶ月ぐらい続きます。最低この期間は静養して下さい。すぐ仕事を始めては絶対だめですよ。」

また先を読まれている。

「自宅静養する自信がなければ、入院を2週間ほど延長しますが、どうしますか?」

完全に読み切られている。私はしかたなく自宅静養を誓った。

もしかして先生もこのベージを読まれているのだろうか?あるいはメランコリー親和性の類型から先読み可能なのだろうか?


5月25日

TMS後のSPECTを撮り、無事退院することができた。

要した費用は、4月分65,000円、5月分151,290円、合計216,290円だった。

検査の解析結果は6月2日に外来診療したときに教えてもらえることになっている。しかしMRIにはコメントがあって、今回撮ったMRIにも、痴呆になってもおかしくない程度の脳の萎縮があるが3年前と比べて進行していないし、実際に痴呆は生じていないから問題はないとのことだった。どうもすっきりしない結論である。脳外科医のようにきっぱり「歳相応の萎縮」ならすっきりするのだが。


5月26日

TMSを実施している医療機関をほかにも見つけた。

千葉大学医学部附属病院でも、入院で実施しているそうだ。

続く⇒


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