2002年に入院時、m-ECTを実施している医療機関は、見つからなかったし、主治医、入院先で尋ねたが、知らないとの返事だった。今回、TMSを行っている医療機関を2つ見つけたが、m-ECTも3つ見つけた。
そのうちひとつは2002年に入院時、アルツハイマー病の疑いがあるといわれて驚き、少しでも早期に正確な診断をしてもらおうと探したPET(陽電子放出型断層撮影)を行っている施設だった。
情報というのはどこにも転がっていそうで、探そうとすると困難なものだと改めて思う。m-ECTにしても、TMSにしても、国内の文献を探し、その著者の所属機関を調べれば、すぐに分かることだった。インターネットを使いこなしていると自負しているつもりが、ちょっと捜せば分かるほかの情報とうまく組み合わせて使っていなかったわけだ。
ほかに探している人もいるはずなのでまとめておこう。
ところでmagstimのさらに詳しい情報は、同社のDownloadページからパスワードつきのzip fileを取得することができ、所定事項を入力するとメールでパスワードが送られてくる。ピークで8000Aをコイルに印加しているそうだが、写真で見るケーブル、コネクタは予想外に細い。印加時間が短い性だろうが今度は、どんな素子を使って制御しているのかが気になる。写真用ストロボのようにコンデンサーにチャージして、サイリスタで一気に放電させているのだろうか?作ってみたくなってきた。
6:00am家を出発して、8:15am杏林大学医学部付属病院に着いた。8:30am必着とのことで余裕をもって出かけたが、受付は8:45amからで、先についている必要は特になかった。驚いたのは、TMSを担当されているF先生が臨時休暇を取っていることだった。しかし代診のK先生が、丁寧に説明してくださり、こちらも今までに使った抗鬱剤の来歴を見せたところ、難治性うつ病であることは明らかで、TMSの適応が確認された。
ほかにTMSができない諸条件として、金属を脳に埋め込む施術がしてあったり、ペースメーカを使っていたり、あまりに若年だったりといった制限があるそうだ。
TMSを行っている施設は日本国内では少ないので、全国から患者が来ているのは確かだが、難治性うつ病に限って施術しているので、実施しているのは1ヶ月3〜4人どまりで、患者全体に占める割合はごく少数とのことだった。実施後の経過は、多くの患者が施術後同病院の外来には受診せず、自宅周辺の医療機関に戻ってしまうので追跡調査は十分にできていないが、有効率は40〜60%とのことだった。
TMSが有効でなかった場合、m-ECTを行うのか尋ねたが、m-ETCは行わずに、TMSの刺激部位を変えたり、印加磁場の強さを変えて対応し、m-ECTは行わない方針だそうだ。
日本で保険適用になっていないTMSが、なぜ同病院で行えるかといえば、TMSは実験として無償で行っており、一般のうつ病入院治療分が保険適用となっている旨だった。カナダでは保険適用になっており、その他欧米諸国でも研究は進んでいる。実験といっても安全性と有効性は十分確保されているが、同意書に署名する必要があるとのことだ。
あらためてF先生の診察を受けてから入院手続きになるのかと思ったが、K先生の以上の説明で納得がいけば、そのまま入院待ち行列に並ぶことができ、早ければ来週中、遅くても、4月22日ぐらいまでには入院できる見込みだ。
入院期間は電話で聞いたとおり1ヶ月。TMSは大体1日おきに1回20分ほど掛けて10回ほど行うが、施術前後にMRI, SPECTを撮影する等前後1週間ほどかかるのがその内訳となる。前述の通りTMSは無料なので費用は一般のうつ病の入院と変わらず20万円程度だそうだ。
入院に備えてメールでページの更新が出来るようにしました。
ただ、病院から入院日の連絡が来るのを待つ日々が続く。
いつもに比べて今回の症状は重い。いつもは気を紛らわそうと趣味に打ち込んだりしたが、今はその気力もなかなか出てこない。
朝食を食べて昼までごろごろしてようやく起きあがるが何かに取りかかるのに、想像外にエネルギーがいる。取りかかったあとも集中力が足りない。完了出来ても、途中で投げても、その後ぐったり疲れて、また横になる。
調子が悪い時は、こういう傾向はあったがここまで悪いのは珍しい。ただじっとしていても辛い。
その分TMSが効けば、効果を実感できるかも知れないが早くなんとかこの状態から抜け出したい。
4月4日にもらった案内書を見ながら、入院準備を進める。以前2回入院したS医大 付属病院に比べると、安全のためと思われる注意が厳しい。ACを使用する器具は 一切使用できない。火災防止とACコードによる首吊り自殺予防のためらしい。首 吊り自殺予防はほかにも、浴衣の帯は縫い付けることとも書かれている。
病室には各ベッドを仕切るカーテンがない。これも自殺防止策と思われる。S大 付属は、カーテンがあり、寝るときは覗けるように隙間を空けておく約束だっ た。確かにうつ病は、自殺の危険が高い。1ヶ月プライバシーのない生活になる。
結局電池動作のラジオ、MP3プレーヤー、単3電池式携帯電話充電器などを持ち込 むことにした。
刃物は一切持ち込めない。ひげそりは電池式ひげそり器でと言う事だが、私はあ れが苦手だ。剃っている最中のじゃりじゃりする音も、剃った後の剃り残しの感 じもいやなので、普段は2枚刃の手動式を使っている。S大付属では原則禁止で、 預けておいて使うときだけ出してもらう抜け道があったが、面倒なのでのばし放 題にしておいた。今回は抜け道もないので、必然的にのばし放題になる。
まあ、細かいことを言えば、帯を縫い付けても両側を結ぶことも引きちぎること もできるが、想定される危険に過去実際にあった経験を加えての措置なのだと思 う。それにS大付属には、開放病棟に個室があり、閉鎖病棟もあったが、杏林付 属には開放病棟しかない。S大付属は重症患者は閉鎖病棟に入れて安全を確保で きたが、杏林では重症患者でも開放病棟となるため、止むを得ない面もあるのだ と思う。
病院に電話して、待ち状況を聞く。
現在、私が先頭で明日退院予定の人が出るとそこに入ることになる旨。来週月曜日か火曜日には入院できそうだ。
ただ、杏林大学付属病院に入院経験がある人からメールで教えて頂いたのだが、鬱病など自傷自殺の危険がある場合、入院後、数日から数週間は単独で外出できず、その間は携帯電話が使えないそうだ。
いま私は希死念慮を持っていないが、どれ位で単独外出許可がでるか?
TMS開始前だと、リアルタイムにその状況を更新出来るが念のため日記帳も持って行こう。
昨日病院に電話して退院予定の方が無事退院されたことを確認した。
すぐ私の番かと思ったが土曜日、日曜日はそうした業務をしていないので月曜日に連絡し火曜日以降の入院となる旨。
待ち遠しさと不安が交錯する。
今朝8時20分頃、病院から電話が掛かってきた。明日4月19日入院出来る。
何度もお電話頂きと言われてしまった。お忙しいところ済みませんでした。
今度はS医大付属に比べ距離がある。チェックリストを観ながら荷物の点検をする。
明日は9時〜11時に精神科外来に来るように言われている。ラッシュを避けて遅めに行こうと思う。
次に更新が出来るのはいつだろう?前に書いた通り単独で外出出来るまで休止となる。
昨日無事、杏林大学病院に入院した。入院初期は外出を制限される場合があると聞いたが、私は初日から制限はなかった。
新しく清潔な8人部屋で鬱病とは思えない気さくな同室者との生活が始まった。
前の入院でも書いた通り入院初期は検査で忙しい。今日は血液、尿、心電図、レントゲンだった。
同室者にはTMSを受けた人もいる。気持ちが良いそうだ。でもあまりきかなかったとも言っていた。
私はもしTMSが効かなかったら、m-ECTを受けたい。
日程が決まった。
5月6日にSPECT、5月7日からTMS。
つまり、今日から2週間は処方もそのままで、ひたすら待つことになる。これは想定外だった。
脳波、MRI、SPECTと検査が続き連休前にはTMSが始まることを期待していた。2週間ブランクが空くことが分かっていれば、多分入院日程をずらしたと思う。
一旦退院し再入院するか。多分それは無理だろう。それとも2週間外泊で家に帰るか。それとも、そのまま待つか。
いずれも金銭的、時間的に無駄な気がする。入院前によく聞いておくべきだったと後悔しているが後の祭りだ。
正直に主治医と相談しよう。
主治医は親身に話を聞いて下さった。
基本的に入退院を管理する師長と治療にあたる医局、臨床検査を統括するシステムがない。病床が空くと待ち行列の順に入院させ治療内容を考慮しているわけではない。
入院して担当が医局に移るとその時点で臨床検査の予約を入れるので、運が悪いと予想外に日数がかかることがある。今回は連休があること、TMSは開始したら間を空けず連続した方が効果的なのでこの様なスケジュールになってしまった。長期間待たせる事については申し訳ないと思う。ただ一旦退院して入院することはシステム上、再入院の日を確保できない。外泊は自由にして良い。
率直な話を聞いて主治医を尊敬し信頼感は高まったがこのシステムは改善する必要があると思う。
迷いはあるが明日4月24日から4月28日を外泊にして自宅で過ごす事にした。4月30日は病院に居るようにあらかじめ指示があったので、4月29日に戻る申請をしたが28日に短縮された。
飽くまで外泊で病院入院中だから容体に急変があれば外泊許可した責任がある。5泊は長すぎと判断したのだろう。
自宅で一晩過ごした。やはり自宅のほうがぐっすり眠れた。
自宅だとスキャナーが使えるので、TMSを行うにあたって同意した「うつ病に対する経頭蓋磁気刺激の有用性およびその作用機序についての検討に関する同意文書」を掲載する。また、予定よりもTMS開始が遅れたのは、システム的な不備があると思い意見書を提出したのでそれも掲載しておく。
外泊は今日まで。明日はまた病院に帰ることになる。できれば、TMSを受けるとき以外家にいたい気がする。TMSの有効性が認められ健康保険適用になれば、通院もしくは、TMSを受ける期間だけの入院で治療が受けられるようになるだろう。
TMSは1985年Bakerらの研究に始まったのですでに20年以上の研究実績があるのだが、保険適用になっているのはカナダだけである。日本が遅すぎるというわけではないが、ほかの診療科に比べ、新規治療法が認知されるのが遅いような気がする。
m-ECTの普及に関しては、明らかに欧米に対し日本は遅れている。ECTは抗鬱薬が発明される前からある古い方法だが、欧米では近年見直しが進み、装置に改良が行われ適用数も増えている。
TMS, m-ECTとも、抗鬱薬に対し非常に早く治療効果が現れる。この病気と長期間闘病し、多くのものを失った。短期間に治療ができる方法が普及し多くの同じ病を持つ人々が、救われることを願わずにはいられない。
昨日病院に戻り1夜明けた。
やはり自宅の方が良く眠れる。戻ったと言っても別に用がある訳ではなく外泊許可が昨日までしか出なかったからだけの理由である。
風呂に入り髭を剃った。何の事はない、書類では持ち込み禁止だが実際はナースステーションに預け使う時出してもらえる。S医大と同じだ。紙に書いてあること運用が異なる事は良くあることだが悪い慣習だと思う。
明日はTMS実施の1週間の意志確認のため病院に居るように言われているが、5月1日〜5月5日は予定がない。
再び自宅に外泊しようかと思う。
TMS 1週間前の診断が終わった。
内容はうつの程度を計る問診だった。結果は伝えられなかったが、入院時より軽くなっているは私にも分かる。
5月6日にSPECT行いTMSを施術するのは、5月7,8,9,11,12,14,16,18,19,21日の10回。その後5月25日に、もう一度SPECTを行い5月28日退院予定となった。
明日5月1日から5月5日まで外泊するがTMS実施中は外泊できない。
4月19日の入院だから連休の10日分入院期間が延びた事になる。
2005年5月に続く
Copyright (c) 2005
All rights reserved.